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勝手にレビュー:PSYENCE(前半)

PSYENCE
hide / ユニバーサル
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「大体、2ndはまだ認められないんですよきっと。
後に、4枚目以降できっと『最高傑作』と呼ばれるものが出来てしまって、だけどそっからまた時間が経った時に『いや、実は2枚目が良かった』と言われるものですよ、これは」

――そりゃまんまKISSの歴史じゃねえか(笑)。
「いや、ツェッペリンとも言う」
(「音楽と人」96年10月号)

2年7ヶ月ぶりに発売された、ソロアルバム第2弾。
その間、20曲は作っていたらしいのですが
エックスの活動との兼ね合いですぐに完成しなかった為
改めて制作にかかった時点で「全部捨てた!」んだそうです。
Macのお墓に埋めてしまったんだとか。

「今聴くとダサダサだもんねぇ(苦笑)。
だからその事もよかったよかったと(笑)」


インタビューでこのコメントを読んだ時
この人潔いなぁと思いました。

そして、マニュピレーター稲田氏と2人で
約3ヶ月間でこのアルバムを完成。
発売プロモーションのインタビューでは
「最少人数で最短時間で高密度の最高の物を」
というコピー文句を連呼していて、
市川哲史さん(音楽評論家)に
「ダメな会社のスローガンみたいだな」
と、つっこまれたこともありました(^^;

初回限定版のパッケージは、
ピンク・グリーン・イエローの三種類。
「どの色をみんなが買うかリサーチしたかった」そうです。
ファンがhideに持つイメージは「ピンク(髪の色からか?)」
だったのか、売れたのはピンクがダントツ。次がグリーン。
リサーチの結果を問われた時には「黄色が余ってます(笑)」と回答してました(笑)。

ちなみに、当時私が買ったのはイエロー。
ところが先日、某ブクオフでグリーンが「私を買って♡」と言わんばかりの
表情で佇んでいるのに出くわしてしまい、ふらふらと購入。
これが中古といえどかなりの美品で、元の持ち主が
どれだけ大切に扱っていたかが窺えたりして。
買って分かったんですが、パッケージが違うと
中の曲も、また一味違って聴こえるんですね。

これであとはピンクを買えばコンプリート…って、何をやってるんだ私は。

***************

PSYENCE

「ライヴのオープニングを想像して、自分がこの曲がなったら高揚するかなっていう風な、わがままで作った曲」

1stの「PSYCHOMMUNITY」に引き続き、これまた造語。
「PSYCHO(精神)」と「SCIENCE(科学)」の融合。
作曲に於いて、具体的な作業は機械(科学)の力を利用しているけれど、
その源は、やっぱり人間の発想が要になっている、
という考えを表した言葉です。
でもhideちゃんが和訳すると「バ科学(バカ+科学)」になる(笑)。
ちなみに、このアルバムのおかげで
すっかり「サイエンス=PSYENCE」が身についた私は、
いざ「科学」を英語で書こうとしても
スペルを思い出せない体になってしまいました(^^;

全然違うメロディーなのに、なぜかコレを聴くと
「ミッション・インポッシブルのテーマ」を連想してしまう私。
スリリングでエキサイティングな感じが、
似ていると思うのですが、いかがでしょう。



ERASE

君は誰? 此処は何処? 明日が昨日 昨日は誰?
僕は猫 君は花 ほら 僕が消えて行くよ

「身から出たサビ 赤っ恥 人生まだまだ宵の口」


ここ好きだー!!
某mixiに書いた「好きな言葉」はココからの引用です。

えらい事してしもうた やり直せるなら もう二度と
バカはしないと誓います 本当に 本当に 嘘じゃない


「あぁホントにな」という、ファン全員からの
総ツッコミが聞こえてきそうですな、今聴くと(苦笑)。
それにしても、こんなにカッコイイ曲に
関西弁を採用するとは大胆な(^^;
でも見事にハマってますね。

「『ERASE』ってのは、歌ものとしてのアルバムの一曲目が欲しくて、自分が把握しないうちのアシッド感を求めて、一番最後に3日で作った曲。これは、E弦をCまで落としてるんですよ。だからもう、ベースがベロベロで弾いたのね」

私ギターできないんで分からないんですが、
ピアノで言うと、ミの音がドの音になる位まで
弦をゆるめて弾いてる…って事ですか?
すごく弾きにくそうだ(^^;
相変わらず実験君というか、遊び心満載というか、
貧乏性というか(笑)、アイディア盛り沢山なのが嬉しいです。



限界破裂

崩れ落ちて行く君は
とても素敵に見える
ここで見ているから
さぁ 笑ってごらん


この曲大好き!!
「LEMONed」に収録されているのを聴いた時から好きでした。
ほんっとhideちゃんてアブノーマルな雰囲気が似合いますねぇ…
PVに出てくるプチ犯罪な男性の役、
hideちゃんが演っても良かったんじゃないかなぁ。
(注:褒めてます)

笑顔で獲物を狩り立てていくような
狂人の風情を湛えた独特の声音が、見事にハマってます。
そして、特に大好きなのが、間奏のギター!!
聴いていると、音に追い詰められていく錯覚を覚えるような
脳髄を掻き回すあの音に、この上ない快感をもたらされます。
…ひょっとして私、ちょっとM寄り?(笑)

何かで「この曲は『HONEY BLADE』と同じモチーフ」
と読んだ事があるのですが、…そうかな?
私はむしろ、サザンオールスターズの
「DING DONG (僕だけのアイドル)」と同じ世界を感じるのですが。
(この↑歌詞が気になる方は、こちらの“SONGS”から
ALBUM『世に万葉の花が咲くなり』をご参照ください)

あと、

僕の上で君が君じゃなくなる

この歌詞凄いなぁと、読むたびに思います。
使っている言葉は普通なのに、えらくきわどい情景を表現してませんか?
こういうのこそ本物だと思うんですよ!(何の話だ)
…って力説しておいて、勘違いだったら恥ずかしいな(^^;



DAMAGE

なんてぇか…びっくりしました。
攻撃的で、荒々しくて、「これhideちゃん!?」と…
DOUBTも激しかったけどアレとはまた違う雰囲気。

ダメージをくれ 踊る悪意をくれ

でも、逆説的だけど、そこが却って前向きに見えたりして。
ヌルい安楽よりも、苦痛でも良いから刺激を受けて、
己をより高めたいと言っているかのような。


言葉遊び的な面で言えば、
後半「踊る悪意をくれ」と韻を呼応させて
出てくるフレーズが「澱む悪意まみれ」なのが良いなぁ、と。
普通、「踊る」に呼応するなら「る」で終わる動詞を
持ってくると思うんですが、
ここで「ど」に音を合わせてきたか、と。
それできっちり最後も「れ」で終わらせちゃって。
またその選んだ単語の意味合いからも
毒々しい雰囲気が更に強調されてるし。

うん、最初はびっくりしたけど
聴けば聴くほどハマっていった曲です。

何故そんなに無理してる?
誰もお前の事など 気にしない
向かう所敵無しのフリして 最高か?
そりゃまあ 誰だって凡人
言われなくても 誰だって知ってる
明日こそはと生きてて 迷惑かけたか?


ココ好き!肩の力抜けます(笑)。
普通に「ありのままのアナタで良いんだよ」とか
言われるよりも、ずっと説得力あると思いませんか?

いつか変わると思うな どうせ
待てど暮らせど いつもパラダイス
見たくない物見てても 時計は回る


ガツンと来たのは、この一段落。
特に、最後の一行。
そうなんですよね、ホントそうなんですよ…



LEMONed I Scream (choco chip version)

「これは、ビデオの『LEMONed』を作った時にサントラとして作ったものを、もう一回歌を全部録り直し、バック・トラックはそのまま活かしてリミックスしたものですね」

I’ve got a sweet poison cake, gonna be high
Take me higher higher
I’ve got a sweet creature song,
It’s a lemon, lemon, lomen & I scream


歌詞は、hideちゃんがLOMONedレーベルを
立ち上げるに至った経緯を語った内容になってます。
LEMONは不良品。または歪なもの。
0.00001%の確率でやってきた、愛すべき規格外品。
そして、何時の間にか「不良品でした(LEMONed)」
なんてカオをしていたりして。

非常に可愛らしい曲と声ですが、
ライヴで言われるまで、これがデュエット曲だと
気付きませんでした…てか、今でも分からないorz
hideちゃんが一人二役やってるらしいんですよ。
でも、私には一人分の声が多重になってるようにしか
聞こえないんですよ。
耳悪すぎですね。。。



HI-HO

「『ハイホー』って言葉自体には全く意味のないものでしょ?でも、これをライヴでやってるのを想像したら、その意味のない言葉をすげぇ大勢の人が一斉に叫んでるのは痛快だなっていうのも凄いあった」

最初に聴いた時は、「なんか長いなぁこの曲」
と失礼な事を考えていたのですが、聴き込む内に撤回。
後半がまた遊び心満載で良いのですよ。
「はぁいほーっ」のリフレインに続く南国風な響き、
そしてサンバホイッスル!
またそれが見事に歌詞とマッチしていて。

君と濡れちゃって 淫らで素敵な音を
これから彼女と 魅惑魅惑の Wonder land
時の経つのを忘れて 出たり入ったり
この世の天国 5分足らずで Finish! Oh my GOD!!


この部分…とんでもねー歌詞だと思います(^^;
でも好き。リズムが凄く良いんですよ。
特に「魅惑魅惑」の所が好きです。
この言葉に、こういう繰り返しはしないですよね、普通。
言葉を音として捉えているから思いつくんでしょうね。

Hi-Ho 無駄だらけの そんな君の世界の勝ち
Hi-Ho 空回りでも混ざらない 君の魅力は勝ち
Hi-Ho 何処に居ても 見える月の数は同じ
Hi-Ho 君の宇宙で 小ちゃな星ごと踊りだす Say Hi-Ho


あの一段落はとんでもねー歌詞ですが、
他の所はラブリー(笑)。そしてひたすら能天気。
でも、本人は何度も「意味の無い歌詞」と言ってますけど
深読みすればどんどん深読みできてしまえそうな(笑)。


「伝えたいことは全然なかった。Hi-Hoって意味のない言葉でしょ。だからむしろ、そこから意味のないことをズラズラ書いてみよう、それが良けりゃいいじゃんっていうかんじで。」
「歌詞ももちろん音楽の一部だから、それを”なんぞや?”なんて取り上げること自体、ウソっぽいっていうかんじがする。(中略)なんて説明すると、言ってるそばからそれが意味になっちゃうし(笑)」


…耳が痛いですね(^^;
このインタビュー、作詞について色々語っていて、
どこを抜粋すれば良いか悩んだ位に全体が良かったので、
興味がある方はぜひ読んでみてください。
(「ARENA37℃」1997年2月号初出、
「ARENA37℃ SPECIAL vol.5にも収録されています)



FLAME

Dear my mind どんな不幸にでも
Say hello 言える気持ちほしい
Dear my hurts いつも抱えてきた
Like a wind 重い物捨てよう

夜の風 浴びていれば
忘れられる事なら
その歩幅広げてみる
前よりもずっと


「ホントはこれも『MISERY』という曲なんです」
「発売されたシングルの『MISERY』と作っていた時に“どうも納得行かない。全部ゼロからやり直す”って言ってできたのが、この『FLAME』という名の“MISERY”。だから詞も結構重なってるところがあるんだけど、敢えて姉妹ソングとしてどちらも両方出してしまえ!っていうことで」
「結局、向こうの『MISERY』がシングルになったのは、結構みんなの意見かな。逆に僕は『どちらでも』っていう感じだから」


周囲が「こっちが良い」と言ったら、こっちが『MISERY』になってたんだ…
その時は、あちらはどんなタイトルになってたんでしょうねー。

二曲の違いは、曲調もあるけれど、歌詞の視点が違いますよね。
アチラは二人称で、コチラは一人称。
その時の気分で、好きな方を選べて、便利(笑)。

降る星を数え終えたら 泣くのやめて歩いて行こう

ここはねー。。。たまんないです。
弱ってる時に聴くと、メチャクチャ沁みます。



Beauty&Stupid

「いや、最初は『今の日本は女の子上位だから、
たまには男尊女卑の歌でも書いてやろう!』って思ってたんだけど…」

―全然違うじゃないですか(笑)!
「ギター・ソロの辺りでだんだん気弱になって逆転してしまった(笑)。
前半は『おまえの顔にブッかけてやるぜ!』ぐらいの気持ちで
書いてたんだけど、途中で挫折してしまったんですね(笑)」


気絶する様な 行為の中
気持ち売る様じゃ 恋も泡
腰を振る数 数えても
とても本気にゃなれない Ai ai
あなた好みの Sixty-nine
いやよやめては OKサイン
もしも愛なら 紛い物で
栗の花咲きゃ Bye bye bye bye


あー…ねぇ?(笑)

“美女と野獣(Beauty And The Beast )”ではなく
“美女とオマヌケ(Beauty And Stupid)”に
なってるところが、hideちゃん流。

歌詞全体のテーマについては、
ご本人がおっしゃってる通りなんで
割愛させていただくとして(笑)、
私が注目してしまうのは、音を合わせたコトバの対比。
「気絶する様な」と「気持ち売る様じゃ」
「行為」と「恋」
「Sixty-nine」と「OKサイン」
「愛」と「紛い物」
これだけ大量の語呂合わせが、
曲に更に弾みをつけてるんでしょうね。

めくるめくよな 日々泳いで
回り巡った ツケ抱えて
花を召しませ Fakeのバラを
みごと咲かせて High high high


♪花を召しませ 召しませ花を
…『東京の花売り娘』…昭和21年の歌ですよ。
まったくこの人の歌は、何が引用されるか分かりゃしない(笑)。
古い言葉も新しい言葉も関係なく自分の物にして
歌詞に取り込んでしまうという点では、
私は桑田佳祐さんとhideちゃんのセンスが一番好きです。



OEDO COW BOYS

「これはね、3D(グラフィック)のちっちゃなお侍がいっぱいいて十手持って一斉に動いていくっていう(笑)、イメージで作ったんですよ」

短いインスト物。
間にはいる「ワッショイ!」の掛け声が効いてます。

ドリフ(笑)でいうところの場面転換用、
レコードでいうところの「A面からB面へ引っくり返す時用」の曲。

という訳で、ここで一旦前半終了!(^^

  by rosa_hiho | 2006-10-28 10:53 | hide & X

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